ユーフォニアムって楽譜の読み方が難しい!?分からない人必見!

2022年4月28日

ユーフォニアムは金管楽器の中で、最も吹きやすい楽器と言わています。

しかし楽譜の読み方は、トランペットやホルンと比べてつまずく人が多い。

ユーフォニアムの楽譜の読み方が難しい原因は、楽器の調性と記譜の調性が異なるからです。

本記事では、つまずきやすい事例をあげて、ユーフォニアムの楽譜の読み方を丁寧に解説します。

初心者向けの基礎練習や、おすすめ教則本もご紹介するので、ぜひ合わせて練習に活用してみてください。

ユーフォニアムの楽譜は読み方が2通りある!徹底解説

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ユーフォニアムの楽譜を読むときに混乱してしまう人が多い理由は、ユーフォニアムには2通りの読み方があるから。

楽譜の読み方に関する仕組みを知ってから読むほうが理解しやすいと思いますが、先に答えを知りたい人は移動ドで読む方法からご覧ください。

吹奏楽で使われるほかの楽器とは違い、ユーフォニアムには記譜(楽譜に音を書くこと)に特徴があります。

混乱する場合の理由は大きく2つ!

読み方が混乱する理由具体的な状況
①シ♭をドと教えられるヘ音記号で書かれた楽譜の場合、シ♭の位置(第2線上)はドと教えてもらった。
しかし何度吹いても聴いても、ドと呼ぶ音がシ♭に聴こえる。
②ドがシ♭の位置に書かれている各楽器ごとの主音をドと呼んでいる。
たとえばトランペットは主にB管なので主音はシ♭。
シ♭をドと呼び、楽譜もドの位置に書かれる。
ほかの楽器は主音をドの位置に書くが、ユーフォニアムのドはシ♭の位置に書かれている。
ユーフォニアムにおいて楽譜の読み方が混乱する2つの理由

上記表にあるような経験をした人はいらっしゃいますか?

次の章で解決できるはずなので、一緒に理解していきましょう!

もし上記の「第2線上」「楽器の調性」「B管」の意味が分からない場合は、先に以下2つの記事を読んでみてください。

音符の読み方一覧と譜読みのコツが分かれば怖いものなし!

ドイツ音名のベーやベー管ってなに?一覧表を使ってさくっと解説♪

混乱してしまう2つの理由は、ユーフォニアムの楽譜における特徴が分かればスッキリするはずです。

まずユーフォニアムの楽譜にはどんな特徴があるのかを紹介し、2通りの読み方を徹底解説します。

「楽器の調性」と「記譜の調性」が違う!?

ユーフォニアムはB管で主音となる音はシ♭(運指0で出る音)ですが、楽譜ヘ音記号はC管として書かれます。

混乱してきた…。もう少し分かりやすく!

ユーフォニアムの調性がB管ということは、本来以下のように書かれることが普通です。

ユーフォニアムはヘ音記号の楽譜ではinB書かれない
ヘ音記号の記譜はinBではない

しかし実際は上記画像のように、ユーフォニアムはinB(B管)の楽譜として書かれていません。

フランスではヘ音記号の楽譜でinB表記されている場合がありますが、inBの表記がなければ必ずinCで読んでください。

調べてみたところ「inB」の表記がないのにinBで読んでしまっている人がいるようですが、それは間違いです。

ユーフォニアムの主な記譜方法は以下のとおりです。

ユーフォニアムにおけるヘ音記号の楽譜はinC
ヘ音記号でinC表記が一般的

ユーフォニアムは基本的にヘ音記号の楽譜が多く、ヘ音記号の場合は「inC」で読みます。

間違った読み方を紹介しているサイトもあるため、要注意!

しかし、ト音記号は例外。

ユーフォニアムにはト音記号の楽譜もあり、ヘ音記号と記譜方法・読み方が異なります。

ユーフォニアムのト音記号の楽譜はinB
ト音記号の場合はinB

ユーフォニアムにおけるト音記号の楽譜はinB(B管)で書かれ、実音(実際に出る音は記譜の「長2度+1オクターブ下」になります。

つまり読み方はB管トランペットと同じですが、実音は1オクターブ下ということ。

ユーフォニアムの楽譜でト音記号が使われる場合は、以下のとおりです。

ト音記号で書かれる例
  • いわゆる金管バンドと呼ばれるブラスバンド用の楽譜
  • プロや音大生が吹くようなソロ曲
  • ブリティッシュブラス用の楽譜

吹奏楽部やアマチュアの吹奏楽団に所属しているのであれば、ヘ音記号の楽譜を優先しましょう。

吹奏楽の楽譜でまれにヘ音記号とト音記号の楽譜両方が入っていることがありますが、その場合、自分が読みやすいほうを使用すればOK。

ユーフォニアムの楽譜の読み方難しい原因は、楽器の調性と記譜の調性が違うためと理解できましたでしょうか?

それでは、実際にユーフォニアムの楽譜の読み方をみていきましょう。

移動ドで読む方法

移動ドで音と運指を同時に覚えるのが、音楽の初心者にとっては一番簡単です。

ユーフォニアムの楽譜を、移動ドで読む場合の読み方
移動ドで読むときは、楽器の調性における主音をドと呼ぶ

移動ドとは、上記画像のように実際ピアノでは「シドレミファソラシ」と弾くのですが、それを「ドレミファソラシド」と呼ぶことです。

ピアノにおけるドの位置を移動させ、楽器の調性(B管やEs管など)における主音をドと考えて読みます。

移動ドでユーフォニアムの楽譜を読む方法は、プロを目指している人にはおすすめできません。

なぜかというと、実音と移動ドのギャップから、楽譜の読み替えやソルフェージュなどで理解が難しくなるからです。

たとえば、ソルフェージュでピアノがドを弾いていても、レと聴こえて調2度ズレたまま書き進めてしまう危険性があります。

ユーフォニアムで実音シ♭を、ドと読んでいることで起こる現象です!

実際私も小学生のころから移動ドで覚えていたため、音大を受験するにあたってソルフェージュの勉強は苦労しました…。

ユーフォニアムをはじめとする管楽器は、日本の場合、楽譜の読み方からではなく運指と一緒に音を覚えることがほとんど。

国によっては楽譜の読み方を先に理解してから、運指を覚えるやり方をとっているところもあります。

正直に言うと、楽譜の読み方から順に覚えるほうが音楽理論的には正しいです。

移動ドが最も簡単な読み方であると言えますが、現時点で音楽への道を考えている方は、次に解説する方法で読みましょう。

<戻る>ユーフォニアムの楽譜は読み方が2通りある!徹底解説

実音で読む方法

実音とは「楽器から実際に出る音」の意味で、ユーフォニアムの場合、ヘ音記号の楽譜では実音表記です。

ト音記号の楽譜は、実音に対して長2度+1オクターブ上の記譜音で書かれます。

ユーフォニアムの楽譜を。実音で読む場合の読み方
実音で読む場合はピアノ譜と同じ読み方

上記画像の五線譜は、Bdurの音階を書いたものです。

より詳しく解説すると、ユーフォニアムはB管(inB)なので主音はシ♭。

ヘ音記号の楽譜はinCで書かれるため、実音がシ♭であれば五線の第2線上にシを書きます。

絶対音感を持っていたり、幼いころからピアノやソルフェージュを習っていたりする人は、実音で読むほうが違和感なく読めるはずです。

実音で読む場合、個人的には運指を同時に覚えるのは難易度が高いと思います。

もともと実音で読むことが簡単(ピアノやソルフェージュをやっている人など)なら、単純に暗記するような感覚で運指を覚えましょう。

楽譜の読み方を2つ解説しましたが、個人的には自分が読みやすいほうを優先すればよいと考えています。

一般的に学校の部活では、移動ドで読む方法を教えられることが多いので、その場合は実音・記譜音の概念を理解しておいてください。

ユーフォニアムの基礎練習をご紹介!初心者向け

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ユーフォニアムの基礎練習をするうえで一番大切なのは、自分のレベルにあったメニューを行うこと。

ロングトーンやリップスラーなど、基礎練習にはさまざまな種類があります。

主な基礎練習の種類
  • バズィング
  • 呼吸法
  • ロングトーン
  • タンギング
  • リップスラー
  • 音階
  • フィンガリング

どのレベルであってもすべて必要な基礎練習ですが、段階を追って種類を増やしたり難易度をあげたりすることで、基礎を上げていきます。

そこで今回は、ユーフォニアム初心者向けの基礎練習メニューをまとめました。

呼吸法とバズィング

初心者はまず「バズィング、ロングトーン、リップスラー」この2つを中心に基礎練習を行ってください。

初心者向けメニュー
  1. 呼吸法
  2. バズィング
  3. ロングトーン
  4. タンギング
  5. リップスラー
  6. 音階

呼吸法のやり方はこの記事をチェック→腹式呼吸は吹奏楽やるうえで重要な基礎!練習方法などをご紹介

バズィングの練習方法はこの記事をチェック→金管楽器でのマウスピースの吹き方を解説!練習・洗浄方法も♪

ロングトーン

ユーフォニアム初心者向けのロングトーン
ロングトーンの基本メニュー

2拍たっぷり使って息を吸い、運指0で出る真ん中のF(エフ)の音を2拍伸ばすロングトーンをしましょう。

音を鳴らすことに慣れてきたら、ほかの音でやってみたりテンポや音を変えたりして練習してください。

テンポは50~60が好ましいです。

あえて息を吸う時間をとることで、落ち着いて音を鳴らし、伸ばすことに集中できるようになります。

ユーフォニアムらしい豊かで心地よい音を出すために、ロングトーンは大切な基礎練習です。

タンギング

タンギングは真ん中のFやチューニングBなど、やりやすい音ができるようになったら、半音階でやってみましょう。

各音符が終わるごとに最後は全音符で伸ばし、落ち着いた状態で終わると音の響きにも注目できます。

テンポは速ければいいわけではなく、初心者のうちは60~80内が好ましいです。

「舌をつく」のではなく「舌を離す」ことでタンギングができます。

舌に力を入れすぎず、「トゥー」と言うときと同じ感覚でタンギングしてください。

タンギングは、きれいな発音をするために大切な基礎練習です。

リップスラー

リップスラーはタンギングをせずに、主に息圧とアンブシュアのコントロールで音をつなげます。

ひとつのリップスラー(スラーでつながった音)で音程が変わりますが、必ず同じ運指で行うこと。

半音ずつ下げたり上げたりして、リップスラーを続けましょう。

上記画像の4分音符と2分音符のリップスラーは、テンポ50~60の間でやってください。

音が上がりにくい、下がりにくくて難しい場合は、まずタンギングでやってみると感覚をつかみやすいです。

リップスラーは、ユーフォニアムを含む金管楽器において必須の基礎練習なので、取り入れましょう。

音階

音階は、初心者のうちに覚えることをおすすめします。

吹奏楽部では、初心者であっても短期間のうちに合奏に参加することになるため、音階を覚えていると譜読みが楽になります。

譜読みを楽にすることで、ユーフォニアムの技術向上に集中できるメリットもありますよ。

本記事で紹介している初心者はまずこれ!『朝練ユーフォニアム』や、豊富な練習曲!『アーバン金管楽器教則本』などを参考に覚えましょう。

おすすめユーフォニアムの教則本は1冊持つべし!おすすめ5選

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一般的な授業科目と同じように、ユーフォニアムを上手くなるためには、最低でも1教科書となる「教則本」が必要です。

ユーフォニアムに関する基礎知識や基礎練習のメニューなど、上達の方向へ導いてくれる先生のような教則本を見つけましょう。

残念ながら、ただみんなで合奏しているだけでは上達しません。

個人のレベルアップには、なによりも個人練習やパート練習が重要で、そんなときに教則本が役立ちます。

「まだ始めたばかりだし…」と思わず、逆に初心者だからこそ教則本が必要です。

今回は、中学1年生から現在までユーフォニアムを吹き続けている私が、5冊のおすすめ教則本をご紹介。

レベルアップしたいときに必要な難易度の高い教則本もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

初心者はまずこれ!『朝練ユーフォニアム』

初めてユーフォニアムを吹く人には、『朝練ユーフォニアム』がおすすめです。

楽器を吹くうえでの基本となる呼吸法、バズィング、ロングトーンなど、基礎を網羅(もうら)している教則本です。

この教則本で学べる内容
  • 呼吸法やバズィングなどの楽器を吹くうえでの土台
  • ロングトーンやバズィングなどの基礎練習メニュー
  • 音階
  • ヴィブラートのかけ方など

そして私が『朝練ユーフォニアム』を初心者全員におすすめする最大の理由は、音階のページがあるから。

私が持っているのは旧版なので新版は内容が少し違うかもしれませんが、長音階の譜面と音階練習のメニューが載っています。

短調は書かれていないのですが、初心者は長調をまず覚えていればOK。

『朝練ユーフォニアム』が一冊あれば、ユーフォニアムの基礎技術をほとんど学べます。

さまざまな教則本を購入しましたが、個人的に初心者のうちは『朝練ユーフォニアム』だけでよかったなと思うほど、充実した内容です。

豊富な練習曲!『アーバン金管楽器教則本』

『アーバン金管楽器教則本』は、楽譜を読めるようになり長音階が分かるレベルの人におすすめです。

初心者の人がいきなり取り組むには難しいので、ある程度楽器に慣れてきたら取り入れてみてください。

教則本といっても、曲のような楽譜も多いため楽しさがある内容です。

この教則本で学べる内容
  • 豊富な基礎練習のメニュー
  • 音程・調性の感覚
  • 曲を吹くうえでのフレーズ感など

日本でよく見かける白い表紙のアーバンは、トランペット/コルネット用のト音記号版です。

ユーフォニアムの場合は記譜音に対して、長2度+1オクターブ下の音を出すよ!

トロンボーン用として販売されているヘ音記号版のアーバンもありますが、日本では手に入りにくく、基本的には輸入になります。

ヘ音記号・ト音記号どちらのアーバンでもよいので、自分が使いやすいほうを選んでくださいね。

私はト音記号の楽譜に抵抗がなかったので、すぐに購入できるト音記号版を使用していました。

世界の定番『The Remington Warm-Up Studies』

The Remington Warm-Up Studies
『The Remington Warm-Up Studies』の表紙

レミントンは海外の教則本に興味のある人や、音楽の道を考えている人におすすめ。

『The Remington Warm-Up Studies』通称「レミントン」は、トロンボーンの教則本です。

トロンボーンと同じ音域でマウスピースもほとんど同じサイズであることから、レミントンはユーフォニアムの教則本としても使われています。

ユーフォニアム専攻で音大・芸大受験をする場合は、プロの先生からレミントンを進められるケースも多いです。

私は音楽の道を意識し始めたころ、先生に進められて使い始めました。

この教則本で学べる内容
  • 良い音作りの基礎
  • 豊富なリップスラーの練習メニュー
  • 長音階の練習メニューなど

冒頭にある「ex.1 Sustained Long Tones-Tuning」の練習は、発音・音程・音色・音量を意識してロングトーンし、音作りに役立ちます。

すべて英語表記で、練習の発案者レミントンと、編集・作成者であるハンスバーガーによる会話形式で書かれています。

レミントンを使用するにはプロのサポートがある状態をおすすめしますが、英語を読める場合や、練習メニューとしての使用は問題ありません。

息と唇のコントロール『TECHNICAL STUDIES』

TECHNICAL STUDIES
『TECHNICAL STUDIES』の表紙

『TECHNICAL STUDIES』は、初心者から上級者まで幅広く使えます。

Fの2オクターブが出せない、ギリギリだという人は、無理せず教則本の最初に書かれている低音域から少しずつ挑戦してみましょう。

この教則本は、金管楽器奏法の教師として世界的に有名な、クラーク・ゴードンが著者で、すべて英語表記です。

主に半音階や狭い跳躍を使っており、スラーでつなげた練習メニューが特徴的。

この本で学べる内容
  • 息のコントロール
  • 柔軟な唇
  • 音域を広げられる練習など

ピアニッシモで吹くことで、音色・指や音のポジション・息のコントロールなどが身についていく、レベルアップのために効果的な教則本。

個人的には、少し楽器に慣れてきたころにぶつかる、音色や音域の悩みに最適だと思います。

私は音大生になってから『TECHNICAL STUDIES』に出会いましたが、高校生のころにやっておきたかったと思う教則本のひとつです。

ちなみに、私は英語を読めませんが海外の教則本も使っています。

高難度のリップスラー『LIP FLEXOBILITIES』

LIP FLEXOBILITIES
『LIP FLEXOBILITIES』の表紙

『LIP FLEXOBILITIES』は、リップスラーのみが載っており、だんだんと難易度が上がっていくため、初心者から上級者まで幅広く使えます。

最初のページに練習をするうえでのアドバイスがまとまっており、すべて英語表記です。

だんだんとフレーズが長くなったり、跳躍の幅が広くなったりするので、レベルアップを実感しやすいのが嬉しいポイント。

この教則本で学べる内容
  • 豊富なリップスラー
  • 柔軟な唇
  • 息のコントロールなど

難易度の高い内容もあるため、非常にやりがいのある練習ができるはず。

私はすべてのメニューをやっていないので、この機会にまた挑戦してみたいと思います。

練習は誰にでも必要ですが、とくにユーフォニアムを始めたばかりの人は、教則本を使って正しい知識・練習方法を行いましょう。

レベルアップを目指したい人は、教則本に載っている練習メニューに注目して、自分が磨きたい技術を学べるものを選んでくださいね。

まとめ

  • ユーフォニアムの楽譜はヘ音記号ならinC表記、ト音記号ならinB表記が基本
  • ヘ音記号で第2線上に書かれるシ♭を、「ド」または「シ♭」と読むかは自分次第
  • 初心者は、楽器を吹く前の呼吸法やバズィングが重要
  • ロングトーン・タンギング・リップスラーは、簡単なものから挑戦
  • 初心者は『朝練ユーフォニアム』で基礎を習得
  • 『アーバン金管教則本』があれば、毎日の練習に困らない

ほとんどのユーフォニアム初心者がぶつかる、楽譜の読み方の壁。

譜読みがややこしくなってしまうのは、ほかの楽器と違い実音表記の楽譜だから、さらにト音記号では記譜音で書かれるからです。

最初のうちに楽譜の読み方について理解していれば、練習をしたり曲を吹いたりするのが楽しくなりますよ。