腹式呼吸は吹奏楽やるうえで重要な基礎!練習方法などをご紹介
吹奏楽をやっている人は、よく「腹式呼吸をして」と指導されませんか?
しかし腹式呼吸が分からない、うまくできないと悩んでいる人は多いはず。
私も小中学生のころ、腹式呼吸がうまくできないのは悩みの一つでした。
本記事では、なぜ吹奏楽では腹式呼吸の指導をされるのか、腹式呼吸の具体的な練習方法を吹奏楽向けにご紹介します。
腹式呼吸は吹奏楽の基本!胸式呼吸がよくない理由
吹奏楽をやるうえで、楽器を吹くときの腹式呼吸は基本中の基本。
なぜなら、胸式呼吸は楽器を吹くときの呼吸に適していないからです。
吹奏楽部や吹奏楽団などに所属している人は、よく「お腹から吸って!」「お腹で支えて!」と先生から言われることが多いですよね。
この章では、腹式呼吸が楽器を吹くときにどう役立つのか、腹式呼吸と胸式呼吸の違いを比較します。
腹式呼吸は楽器がうまくなる近道
楽器を吹くときに腹式呼吸ができるようになれば、上達の近道になります。
腹式呼吸で吐く息がコントロールされ、さまざまな技術に挑戦できるようになるからです。
たとえばロングトーンをしたときに、だんだん音が小さくなってしまうことはありませんか?
私が小中学生のころは腹式呼吸がうまくできず、8拍のロングトーンをすると5拍目あたりからデクレシェンドがかかっていました。
これは肺活量の問題だけではなく、腹式呼吸で吐く息をコントロールできているかどうかが課題。
腹式呼吸を身に着ける→肺活量を増やすトレーニングがベストな順番!
ロングトーンが一定の音量・音質でできないと、曲を吹くときにも影響がありますよね。
せっかく見せ場のフレーズがあるのに、安定した音で吹ききることができないのはもったいないです。
つまり腹式呼吸ができているかどうかで、吹ける曲やフレーズが限られてしまいます。
ですから、吹奏楽をやるうえで個人の腹式呼吸は非常にポイントになるわけです。
腹式呼吸と胸式呼吸の違い
腹式呼吸のほかに、胸式呼吸という呼吸法があるのはご存じでしょうか?
呼吸は主に腹式呼吸と胸式呼吸の2種類があります。
仕組み:息を吸ったときにお腹がふくらみ、吐くときにお腹がへこむ
どんなとき:寝ていたり平常時だったり、リラックスしているときの呼吸
仕組み:息を吸ったときに肩が上がり、吐くとき肩が下がる
どんなとき:走ったり緊張したり、心拍数があがっているときの呼吸
腹式呼吸はリラックス状態、胸式呼吸は緊張状態と、真逆の状態で起こる呼吸法といえます。
つまり胸式呼吸が楽器を吹くときに適さない理由は、体に力が入った状態で呼吸をしているから。
また、腹式呼吸のほうがリラックスした状態であることから、たっぷりと息を吸えます。
腹式呼吸は吹奏楽でなぜ必要かを解説!理由6選
吹奏楽をやるうえで、個人の腹式呼吸が大切なことは分かるけれど、具体的にどんなメリットがあるのか知りたいと思いませんか?
メリットを知ることで、腹式呼吸の重要性がより分かり、日々の練習に役立ちます。
この章では、なぜ腹式呼吸が楽器を吹くときに必要なのかを6つのメリットにわけて解説します。
唇や口周りが疲れにくくなる
唇や口周りが疲れにくくなる理由は、腹式呼吸で吐く息をコントールでき、口の力を使うことが減るからです。
私はユーフォニアムを吹いています。
そのため金管楽器を吹いている人の気持ちがよく分かるのですが、無意識にマウスピースに唇を押し付けて音を出していませんか?
軽いプレスは問題ないのですが、多くの人が過度なプレスをして音を出しています。
金管楽器の場合、マウスピースを口にプレスすることで唇の血流が悪くなり、痛みを感じることもあるはず。
木管楽器の場合は、ギュッと口をしめることで口周りが疲れ、息漏れが生じてくるでしょう。
口、腕、肩の力に頼って音を出すのは、間違った演奏方法……。
解決する方法は一つ、腹式呼吸で吐くときにお腹がへこんでいくと同時に腹筋を意識しましょう。
腹式呼吸は吐くときが最もポイントです。
安定した音が出しやすくなる
安定した音が出しやすくなる理由は、腹式呼吸でたっぷりと空気をとりこめるからです。
息を吸ったときに充分な空気を取り込めていないと、pの音もfの音も、一定の音量で吹き続けることはできません。
また、吐くときに腹式呼吸で腹筋の支えがないと音がふるえたり、ピッチが揺れたりします。
吹奏楽はメンバー全員で音楽を作り出すので、個人の安定した音が非常に大切。
腹式呼吸がうまくできない人は、 腹式呼吸は分かるけれどうまくできない人用で練習してみましょう!
フレーズを長く吹ける
フレーズを長く吹けるようになる理由は、腹式呼吸で空気を多く取り込み、ブレスの回数を減らせるからです。
1フレーズが4小節だとして、浅いブレスだと息が足りなくなって途中で何回もブレスをとることになってしまいます。
ブレスを取るとフレーズが切れて聴こえてしまいがちなため、可能な限り1フレーズの中でブレスを取る回数は少なくしたいです。
つまり腹式呼吸をおこなうことで、曲作りにも影響するということ。
腹式呼吸を鍛える方法は楽器を吹くときの腹式呼吸を鍛えたい人用で紹介しているので、ぜひ試してみてください!
音の強弱の幅が広がる
音の強弱の幅が広がる理由は、お腹にグッと力を入れて息圧がコントロールできるからです。
息圧とは、楽器を吹くときに吐く「息の圧力」のこと!
吹奏楽をやっていると、「もっと大きい音出して」「全然pじゃない」と指導されることはありませんか?
分かってはいるけれど、どうしたら強弱があるように聴こえるのかを教えてくれ!と思ってしまいます(笑)
実は音の強弱も、腹式呼吸で楽器を吹くことで表現できるようになっていきます。
アンブシュアなどの細かい技術も関係してきますが、まずは腹式呼吸ができているかどうかが重要。
胸式呼吸だと吐く息を支えることができないため、fを出しても保つことが難しいです。
腹式呼吸であれば、吐くときに腹筋で支えることができるため、音の強弱の幅が広がります。
豊かな音色につながる
豊かな音色につながる理由は、安定した音を出せるようになり次のステップに進めるからです。
豊かな音色を出すためには、まず安定した音を出せるようになること。
他にもさまざまなテクニックが必要にはなりますが、楽器が上手な人はみなさん腹式呼吸で吹いています。
低音から高音までスムーズに音が出しやすくなる
低音から高音までスムーズに音が出しやすくなる理由は、息圧をコントロールして狙った音を出せるからです。
低音域は太い息を遅いスピードで、高音域は細い息を速いスピードで出すイメージ。
グッとお腹に力を入れて鋭い息を出すと、高音が出しやすくなりますよ!
息圧のコントロールができれば、ここぞというときの高音や、高低差が激しい曲でもスムーズに鳴らせるようになります。
腹式呼吸で可能になるコントロールなので、やはり腹式呼吸は基本中の基本です。
腹式呼吸がなぜ必要かは、どれも「吐く息をコントロールできるから」が共通点。
6つの理由は、吹奏楽をやるうえでのメリットといえます。
腹式呼吸の練習方法を吹奏楽向けに音大卒が解説!
腹式呼吸が吹奏楽をやるうえで重要なのは分かるけれど、練習方法が分からないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
私もプロの先生に教わるまでは、無意識に胸式呼吸で苦しそうにユーフォニアムを吹いていました…。
今回は、私が吹奏楽部員時代から音大生までの過程で学んできた呼吸法をいかして、吹奏楽向けに腹式呼吸の練習方法を考えてみました!
4段階に分けて練習方法をご紹介しますので、自分にあった段階から挑戦してみてください。
以下4点はどの練習方法でも共通する注意点ですので、意識して取り組みましょう。
- 頭で考えてお腹をふくらまそう、へこまそうとしない
- 頭から腰までが一直線になるイメージで胸をはり、猫背や反り腰はNG
- 呼吸のときに肩が動く場合は、胸式呼吸になっている可能性が高い
- メトロノームを使った練習方法は、♩=50でおこなう
腹式呼吸が分からない人用
【1.腹式呼吸を体で理解しよう】
- 寝ているときのようにリラックスして、自分の呼吸に集中する
※可能であれば、ベッドや布団などに仰向けになっておこなう - 吸ったときに自然とお腹がふくらみ、吐いたときにお腹がへこんでいるのを感じる
- 立ち上がり、先ほどの状態をイメージしながら自然な呼吸を続ける
自然に腹式呼吸を感じられるようになるまで、やってみてください。
体が緊張していると胸式呼吸になってしまうため、一人でリラックスした時間におこなうとやりやすいです。
【2.メトロノームを使って呼吸してみよう】
- 3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして6拍までおこなう
腹式呼吸が自然な状態で、できるようになることが目的です。
一日でできるようになろうと思わず、毎日数回でも続けることで体が覚えていきます。
息が苦しいと感じたら、グッとお腹に力を入れて息を出し切りましょう。
腹式呼吸は分かるけれどうまくできない人用
【1.メトロノームを使って呼吸してみよう】
- 3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして8拍までおこなう
腹式呼吸を自然な状態で、一定の量で息を吐けるようにすることが目的です。
息が苦しいとなったときに、ギューッと胸や肩に力を入れるないでください。
腹筋に力を入れ、お腹を押し込むようにして吐く息を支えましょう。
【2.腹式呼吸で腹筋を使ってみよう】
- 犬のものまねをして、「ハァ(吸う)、ハァ(吐く)」とゆっくりやる
- 動きに慣れてきたら、スピードを速くしておこなう
「ハァ(吸う)、ハァ(吐く) 」とするときに、お腹が大きく動いていることを確認してください。
このとき、肩は一切動かずお腹だけが動きます。
腹筋を使って息をコントロールすることが目的の練習方法です。
楽器を吹くときに腹式呼吸ができない人用
【1.楽器を吹く状態に近づけていこう】
- マウスピースは無しの状態でアンブシュアを作り、3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして6拍までおこなう
楽器を吹くときに腹式呼吸がうまくできない原因は、無意識に体に力が入ってしまうから。
少しずつ音を出す段階に近づけて、楽器に対する「変なかまえ」を無くすことが目的です。
お腹の下から息をためていくイメージで息を吸いましょう。
【2.マウスピースに口につけよう】
- マウスピースを口につけ、音は出さずに3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- マウスピースに口をつけてアンブシュアを作り、3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして6拍までおこなう
最初にマウスピースを口につけておこなうときは、アンブシュアを作らないでください。
息を入れるイメージで、腹式呼吸ができているかを重視しておこないましょう。
アンブシュアを作った状態では、音を出そうと考えず、息圧で自然と音が出るようになれば合格です。
【3.マウスピースを楽器につけよう】
- 楽器につけたマウスピースに口をつけ、音を出さずに3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして6拍までおこなう
- アンブシュアを作り、3拍吸って3拍吐くを数回繰り返す
- 自然にできるようになってきたら、吐く長さを1拍ずつ増やして8拍までおこなう
先ほどまでやってきた自然な腹式呼吸をイメージして、おこないましょう。
アンブシュアを作った状態でおこなうとき、音を出なくてOKです。
吐くときに腹筋に力を入れて息を支え、自然と音が出る感覚を体に覚えさせてください。
楽器を吹くときの腹式呼吸を鍛えたい人用
【1.腹筋で吐く息をコントロールしよう】
- 1拍で吸う→pで8拍のばす→2拍休む→1拍で吸う→fで8拍のばす
- 1のセットを繰り返す
決められた拍の中で充分なブレスをし、腹筋で吐く息を支えながら一定の音量で音をのばすことが目的です。
後半あたりから音がふるえたり、音量が小さくなっていませんか?
音を出すことだけが目的ではありません。
【2.アクセントで息圧を意識しよう】
- お好きな教則本のアクセント練習を、出た音のクオリティは重視せず、息圧を意識しておこなう
息圧をかけてアクセントをつけることで、腹式呼吸が鍛えられます。
力で音を強く出したり、タンギングを強くして音を出したりするのはNGです。
音を出すときに、腹筋で息をフッと出すイメージでアクセントをつけましょう。
【3.スラーで息圧をコントロールしよう】
- お好きな教則本のスラー(リップスラー)の練習を、息圧を最重視しておこなう
※テンポは♩=60程度 - 上記を速いテンポでおこなう
※テンポは♩=80程度
木管楽器はスラー、金管楽器はリップスラーで練習しましょう。
息圧をコントロールして、音から音へうつることが目的です。
なんとなくスラーをつけるのではなく、すべての音が均一に響くように息圧をコントロールすることがポイント。
まとめ
- 吹奏楽をやるうえで、個人が腹式呼吸で楽器を吹けているかは重要事項
- 腹式呼吸で楽器を吹くと、口周りが疲れにくくなったり、安定した音が出せるようになったりする
- 吐く息をコントロールできるようになることが、一番の目標
まずは楽器を吹く前に、自然な腹式呼吸を体で感じることが大切。
力を入れてお腹をふくらませてお腹をへこませるなどは、間違ったやり方です。
正しい腹式呼吸を身に着けて、楽器上達へ向けて毎日コツコツと頑張りましょう!
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